ダイソーの重石(おもし)は、結論から言って「自分の用途に合うサイズさえ見つかれば、専門店の数分の一の価格で手に入る最高の実用品」だ。
特に漬物用のガラス重石や、製菓用のタルトストーンに関しては、わざわざ合羽橋や高級キッチン用品店に行く必要はないと確信した。ただし、何も考えずにカゴに入れると「軽すぎて意味がない」「サイズが合わなくて入らない」という、100均特有の安物買いの銭失いになる。
実際に近所の大型店舗(品揃えが良い旗艦店レベルの店だ)でいくつか買い込み、自宅のキッチンで使い倒してみた。その中で見えてきた、リアルな使用感と「買い」の基準を記録しておく。
漬物コーナーで見つけた200円の「ガラス製重石」の重量感
まず手に取ったのは、キッチン用品の漬物グッズ売り場に鎮座していたガラス製の重石だ。価格は100円ではなく200円(税抜)だったが、それでも安い。

なぜこれを選んだか。理由は単純で、プラスチック製や石を樹脂で固めたタイプに比べて、圧倒的に衛生的で見た目が美しいからだ。漬物は塩分や酸が強い。昔ながらの「その辺の石」を洗って使うのも風情はあるが、現代の冷蔵庫事情を考えると、色移りせず、煮沸消毒もできるガラス製が一番合理的だと判断した。
実際に持ってみると、ずっしりとした重みがある。計量してみると約380g。手に収まるサイズ感の割には、しっかりとした密度を感じる。表面は滑らかで、気泡もほとんどない。200円でこのクオリティのガラス塊が買えること自体、少し驚きだった。
実際に浅漬けを作ってみて気づいた、絶妙な「径」の問題
このガラス重石を使って、きゅうりと茄子の浅漬けを作ってみた。ここで最初のハードルにぶつかる。
重石を買う前に、自分が使っている保存容器の「口径」を測っておかなかったのだ。ダイソーのこのガラス重石は、直径が約9cmほどある。私が愛用しているiwakiの耐熱ガラス容器にはぴったり収まったが、細身のジップロックコンテナや、小さめのジャム瓶には全く入らない。
ポイントは「重石自体の性能よりも、容器との相性が全て」ということだ。
理由は、重石が容器の壁に干渉してしまうと、食材に均等に圧力がかからないから。実際に、少し口がすぼまった鉢で使おうとしたところ、重石が途中で引っかかってしまい、下の野菜が全く潰れないというマヌケな事態になった。
結局、平らな底のボウルに移し替えて漬け直した。重石が野菜に直接乗り、じわじわと水分を押し出していく様子が透明なガラス越しに見えるのは、視覚的にかなり心地よい。1時間もすれば、きゅうりからたっぷりと水が出て、パリパリとした食感の浅漬けが完成した。200円でこの仕事なら、文句の付けようがない。
製菓コーナーの「タルトストーン」は1袋では足りないという罠
次に試したのは、製菓用品コーナーにあるアルミ製(あるいはセラミック製)のタルトストーンだ。これは100円の商品。

タルトやキッシュを焼くとき、生地の底が膨らまないように乗せる「重り」だが、これが意外と高い。製菓専門店で買うと1,000円近くすることも珍しくない。それが100円で手に入るのだから、ダイソーの企業努力には恐れ入る。
しかし、ここには明確な罠がある。
18cm型なら最低でも3袋は必要
実際に18cmのタルト型に敷き詰めてみようとしたところ、1袋(約50g〜60g程度だったか)では、底面をうっすら覆うのが精一杯だった。これでは重石としての役割を十分に果たせない。

タルト生地というのは、焼いている間に側面からダレてきたり、底がポコポコと膨らんでくる。それを物理的に抑え込むには、ある程度の「厚み」と「重さ」が必要なのだ。結局、その日は作業を中断して、もう2袋買い足しに走ることになった。
「100円で買える」と思って喜んでいたが、実用的な量を揃えるなら300円、できれば400円分は買っておかないと、タルトの壁面を支える高さまでストーンが積み上がらない。これから買う人は、最初から3袋はカゴに入れるべきだ。
メンテナンスの面倒くささは覚悟すべき
使い勝手に関しては、可もなく不可もなく、といったところ。アルミの熱伝導のおかげか、底面もしっかり焼き色がつく。ただ、使用前にしっかり洗わないと、金属特有の細かい粉のようなものが付着している気がして少し怖かった。
それと、使い終わった後の洗浄がとにかく面倒だ。ザルに入れてジャラジャラと洗うのだが、小さな粒の間に油分が入り込む。お湯と洗剤で念入りに洗った後、完全に乾燥させないとカビや酸化の原因になりそうで、新聞紙の上に広げて乾かす手間が発生した。この「メンテナンスの面倒くささ」は、ダイソー商品に限ったことではないが、安く手に入れた分だけ余計に手間に感じてしまう。
園芸コーナーの「重石」をキッチンに持ち込む裏技
実は、今回一番「これは使える」と思ったのは、キッチンコーナーではなく園芸・アウトドアコーナーで見つけた、レンガ風の重石や、装飾用のストーンだ。

もちろん、これらを直接食べ物に乗せるわけではない。 例えば、味噌作りや、大量の梅干しを漬けるとき。キッチン用の小さなガラス重石では、到底太刀打ちできない。そんな時、ダイソーの園芸用レンガ(100円)をビニール袋で二重、三重に包んで「重り」として使うのが、実は一番コストパフォーマンスが高い。
10kgの味噌樽に挑んだ結果
去年の冬、自家製味噌を仕込んだ際、上に乗せる重石をどうするか悩んだ。専用の陶器製重石は重いし、何より高い。そこでダイソーの園芸用ストーンを4つ購入し、それぞれをポリ袋に入れて密閉。それを中蓋の上に乗せてみた。
結果は完璧だった。 重さが均等に分散され、カビの発生も抑えられた。使い終わったら袋を捨てて、石は庭の隅に戻すか、また来年まで物置に放り込んでおけばいい。キッチン専用品という枠に縛られず、店内を回ってみると思わぬ掘り出し物があるのがダイソーの面白いところだ。
失敗から学んだ「ダイソーで重石を買う時のチェックリスト」
いくつか試してみて、失敗しないためのポイントが見えてきた。
- 「重さ」を具体的にイメージする 「重石」という名前がついているからといって、必ずしもあなたの目的を達成できる重さがあるとは限らない。特に浅漬けの場合、野菜の重量の1.5倍〜2倍の重さが必要だと言われる。ダイソーの200円ガラス重石(約380g)なら、きゅうり2〜3本分が限界だ。それ以上の量を一度に漬けるなら、2個買いが必須になる。
- 容器の「内径」を測ってから店に行く これが一番重要。ダイソーの店頭で「これくらいかな?」と目分量で選ぶと、家で絶望することになる。特にガラス重石は1mmでも容器より大きければ入らない。逆に小さすぎると、端っこの野菜が浮いてきてしまう。
- 「洗いやすさ」を考慮する タルトストーンのような細かい粒タイプは、管理がズボラな人には向かない。私は結局、何度か使った後に「やっぱり洗うのが面倒だ」となり、最近はガラス重石をタルトの真ん中にドスンと置いて代用することもある(形は少し歪むが、自分用なら十分だ)。
「重石 ダイソー は共通の代替品をAmazonと楽天で探す」
ダイソーの店頭に在庫がない場合や、もっと特定の用途に特化したスペックが欲しいなら、Amazonや楽天で代替品を探すのも一つの手だ。ネットで手に入る代表的な選択肢をいくつか挙げておく。
| 商品名 | 主な用途 |
|---|---|
| EarthForge テントウェイト | 屋外での設営・固定 |
| LuceLuce 文鎮 500g | 書道や型紙の固定 |
| Shi Gosei トンボ 漬物石 重石 | 本格的な漬物作り |
EarthForge テントウェイト
キャンプやイベントでタープを固定する際に活躍する。水や砂を注入して重さを出す仕組みで、撤収時には中身を抜いて軽く持ち運べるのが利点だ。
LuceLuce 文鎮 500g
書道や型紙の裁断など、細かい作業で紙が動かないように押さえる道具だ。500gの重みがありつつも、デスクの上で邪魔にならないコンパクトなフォルムをしている。
Shi Gosei トンボ 漬物石 重石
本格的な樽での漬物作りに欠かせない、樹脂コーティングされた重石だ。持ち手があるため、水が上がってきた樽の中でも指をかけやすく、安定して荷重をかけ続けられる。
結局、ダイソーの重石は「買い」なのか?
色々文句も書いたが、今の私のキッチンには、ダイソーのガラス重石が2個、タルトストーンが4袋、そして物置には園芸用レンガがそして物置には園芸用レンガが今も出番を待って鎮座している。
結論を言えば、ダイソーの重石は「自分の使い方の限界を知っている人」にとっては、これ以上ないコスパ最強の選択肢だ。
1,000円、2,000円出せば、もっと重くて、もっと持ちやすくて、もっと手入れのしやすい「一生モノ」の重石はいくらでもある。でも、私のように「たまに浅漬けが食べたい」「年に数回だけキッシュを焼きたい」という程度の人間にとって、プロ仕様の道具は宝の持ち腐れになりかねない。
むしろ、ダイソーの200円のガラス重石を「これ、iwakiの容器にぴったりじゃん!」と発見したり、タルトストーンが足りなくて店に走ったりする、あの試行錯誤のプロセスそのものが、100均ライフの醍醐味だとも思う。
最後に、これからダイソーへ向かう人へ
もし今日、あなたがダイソーのキッチンコーナーで重石を手に取ろうとしているなら、これだけは忘れないでほしい。
それは、「重石は単体では機能しない」ということだ。 乗せる対象の野菜があり、それを受け止める容器があり、そして何より「美味しくなれ」と願う(あるいは、ただ単に酒のつまみが欲しいという)あなたの欲求があって初めて、あのただのガラスの塊に命が吹き込まれる。
正直に言うと、タルトストーンの洗浄は今でも大嫌いだ。あのジャラジャラした音を聞くたびに「次はもう既製品のタルト台を買おうかな」と弱気になることもある。でも、焼き上がったサクサクの生地を一口食べれば、あの100円の粒たちが一生懸命に生地を抑え込んでくれた功績を認めざるを得ない。
私にとって、ダイソーの重石は「最高ではないが、最良の相棒」だ。 完璧じゃないからこそ、工夫のしがいがある。次にダイソーへ行くときは、重石をもう一つ買い足すか、それとも園芸コーナーで新しい「重りの可能性」を探るか。そんなことを考えながら、今日も冷蔵庫の中でじわじわと水が上がってくる茄子を眺めている。
結局のところ、200円で手に入るのは「重石」という物体ではなく、「自分で何かを作る時間」そのものなのかもしれない。……なんて、少し格好をつけすぎた。本当は、ただ単に安く済ませて、浮いたお金でちょっと良いオリーブオイルを買いたいだけなのだ。
