セリアのフィットネスコーナーで、あのグレーの塊を手に取った時のことはよく覚えている。
「100円でヨガブロック……? いや、さすがに無理があるだろ」
それが正直な第一印象だった。ヨガを少しかじったことがある人ならわかると思うが、ヨガブロックというのは普通、安くても1,000円、有名ブランドなら3,000円近くする。それが税込110円。どう考えてもサイズが足りないか、あるいは指で押したらペコペコに凹むような、名ばかりのスポンジに違いない。
そう思いつつも、気づけばカゴに入れていた。失敗しても110円。コンビニで新作のグミを買うくらいの気軽さで、私はこの「100均の挑戦状」を自宅に持ち帰った。
結論から言おう。 「補助として使うなら意外とアリ。ただし、標準サイズだと思って買うと詰む。そして、ガチで使うなら2個買いが絶対条件だ」
1ヶ月間、毎朝のヨガと風呂上がりのストレッチで使い倒して分かった、この「110円の塊」の正体を、忖度なしで書き殴ってみたいと思う。
絶望的な「小ささ」をどう解釈するか
袋から取り出して、まず最初にやったことは「苦笑い」だった。 とにかく、小さい。 一般的なヨガブロックのサイズ(約23cm × 15cm × 10cm)を頭に浮かべていると、セリアのそれは親子ほどの差がある。

実測してみると、幅が約15cm、奥行きが約7.5cm、高さが約12cmといったところ。 特に致命的なのが「厚み(奥行き)」だ。標準的なブロックの約半分しかない。 この薄さが、実際のポーズでどう響くか。
例えば、立位の体前屈で手が床に届かない時にサポートとして使う「三角のポーズ(トリコナーサナ)」。 ここにセリアのブロックを置いてみる。……低い。圧倒的に高さが足りない。 ブロックを縦に立てて使おうとしても、底面積が狭すぎて、少しでも体重を外側に逃がすと「ガクッ」と倒れそうになる。これは怖い。ヨガで一番大切な「安心感」が、この薄さのせいで損なわれている。
「やっぱり安物買いの銭失いだったか」 使い始めて3日目、私は早くもこのグレーの塊を、ただの「腰掛け」か「足置き」に格下げしようと考えていた。
意外な「硬さ」が、私を引き止めた
しかし、捨てる前にいくつか別のポーズを試してみたところ、意外な発見があった。 素材の「EVA樹脂」が、想像以上にしっかりしているのだ。

100均のこの手のアイテムにありがちな「柔らかすぎて底づきする感じ」がほとんどない。 私の体重(約60kg)を預けても、目に見えて形が変わるようなことはなかった。 特に、あぐら(安楽座)の姿勢でお尻の下に敷いた時の安定感は、むしろ標準サイズの柔らかいブロックよりも優秀かもしれない。
骨盤がスッと立ち、背筋が伸びる。 この「硬さ」に関しては、110円という価格を考えれば、驚異的なクオリティだと言っていい。 表面の質感も、少ししっとりとしたマットな加工がされていて、汗をかいた手で触れても滑りにくい。 変な化学薬品のような臭いがしなかったのも、地味にポイントが高い。鼻をつくようなゴム臭がすると、チャイルドポーズで顔を近づけた瞬間に現実に引き戻されるからだ。
「2個使い」という、100均ならではの解決策
1週間ほど使って、私はある結論に達した。 「このブロックは、1個で完結させようとするから不満が出るんだ」
翌日、私は再びセリアへ走り、全く同じブロックをもう1個買い足した。 2個並べて使ってみる。すると、あんなに頼りなかった「薄さ」が、一気にメリットに変わった。

例えば、仰向けになって腰の下に置く「橋のポーズ(セツバンダーサナ)」の補助。 1個だと幅が狭すぎて、背骨のあたりがゴリゴリして痛かったし、左右にフラついてリラックスどころではなかった。 だが、2個を横に並べて配置すると、ちょうど仙骨のあたりを幅広く、どっしりと支えてくれるようになる。
この「2個で1セット」という運用こそが、セリアのヨガブロックの正解だ。 2個買っても220円。それでもまだ、スポーツブランドのブロック1個の価格の4分の1以下。 薄さを逆手に取って、2枚重ねて高さを細かく調整したり、両手に1個ずつ持って腕の長さを補ったり。 小さくて軽いからこそ、2個使いのバリエーションが異常に広がるのだ。
1ヶ月使って見えてきた、消せない「弱点」
もちろん、手放しで絶賛できるわけじゃない。 使い続けるうちに、いくつかの「イラッ」とするポイントも明確になってきた。
まず、**「角の処理」**が甘い。 高級なヨガブロックは、角が緩やかに面取りされていて、体に当たっても痛くないようになっている。 セリアのものは、一応丸みはあるものの、基本的にはエッジが立っている。 脇に挟んだり、太ももの間に挟んで力を入れるようなポーズだと、この角が皮膚に食い込んで地味に痛い。

次に、**「傷のつきやすさ」**だ。 EVA素材の宿命かもしれないが、爪がちょっと当たったり、床に置いて引きずったりするだけで、簡単に表面が削れる。 1ヶ月経った今、私のブロックには無数の小さな凹みと引っかき傷がついている。 「道具を育てる」という感覚は皆無。あくまで消耗品だ。
そして最大の懸念は、やはり**「軽すぎる」**こと。 自重がほとんどないため、床に置いた時の自立性が低い。 ポーズの移行中に足がちょっと当たっただけで、パタンと倒れる。 「静」のヨガならいいが、動きの激しいフローヨガの中でこれを使うのは、少しストレスが溜まるかもしれない。
ヨガブロック セリア ゼのグッズのコードは共通の代替品をAmazonと楽天で探す
セリアなどの100均で目当てのアイテムが見つからない場合は、Amazonや楽天で代替品を検討するのが効率的だ。オンラインで手軽に購入できる、使い勝手の良いヨガブロックをいくつか紹介する。
| 商品名 | 特徴 |
|---|---|
| AYO ヨガブロック 2個セッ | 安定感のある2個セット |
| MaT store ヨガブロック 柔らかい | 体に馴染みやすいソフトな質感 |
| 【2個セット】スリア ヨガブロック プロップス suria | 専門ブランドの定番モデル |
AYO ヨガブロック 2個セッ
しっかりとした硬さと安定感があり、立ちポーズの補助や体幹を支える際に重宝する。2個セットのため、両手を地面につくような動作でも左右のバランスを均等に保ちながら練習を深められる。
MaT store ヨガブロック 柔らかい
一般的なブロックよりもソフトな素材を採用しており、背中や腰に当てた際の圧迫感を抑えてくれる。柔軟性を高めるストレッチや、リラックスを目的としたポーズで体を優しくサポートしたい時に適した仕様だ。
【2個セット】スリア ヨガブロック プロップス suria
ヨガ用品を専門に扱うブランドの製品で、手に馴染みやすいサイズ感と軽量さが魅力となっている。自宅での使用はもちろん、持ち運びの負担が少ないため、ヨガスタジオへ持参して練習する際にも活用しやすい。
結局、これは「買い」なのか?
1ヶ月間、この小さなグレーの塊と向き合って出した私の答えはこうだ。
もしあなたが、「これからヨガを本格的に趣味にするぞ!」と燃えているなら、悪いことは言わない。最初から2,000円出して、ちゃんとしたサイズの、重みのあるブロックを買うべきだ。その方が絶対に上達が早いし、怪我のリスクも低い。
でも、「体が硬すぎて、とりあえず手が床に届く感覚を味わいたい」とか、「寝る前の5分だけ、腰の下に何か置いて伸ばしたい」というライトな目的、あるいは「旅行先でもストレッチしたいから、とにかく軽いのがいい」というサブ機としての需要なら、セリアのこれは「神アイテム」に化ける。
私は今、Amazonで買った重いブロックと、このセリアのブロックを併用している。 ガッツリ体重をかける時はAmazon。 ちょっとした高さ調整や、お尻の下に敷く時はセリア。 そんな使い分けが、意外と心地よかったりする。
110円という価格は、失敗を許容してくれる魔法の数字だ。 「ヨガブロックなんて、自分にはまだ早い」と思っている人にこそ、セリアのフィットネスコーナーを覗いてみてほしい。 そこにあるのは、完璧な道具ではないけれど、あなたのヨガを少しだけ楽しくしてくれる「ちょうどいい妥協点」かもしれないから。
最後に一つだけ。 買うなら、絶対に2個だ。1個だと、ただの「硬いスポンジ」で終わってしまう。2個並べて初めて、それは「ヨガの道具」としての顔を見せてくれる。 110円で買える幸せを、ぜひ2倍にして持ち帰ってほしい。
